エウレカセブンを語ろう! 2

まずはじめに、このレポートは口頭でのやり取りを苦手とする管理人が書いたものなので、聞き間違いや聞き逃しがある恐れがあります。
特に休憩後の後半は旅の疲れがたたってウトウトしてしまい、その大半を聞き逃しています(汗)
レポート内容以外にも手書きのノートにまとめた内容もありますが、今回は以下の内容でまとめさせていただきました。
それでも、少しでも監督さんをはじめとしたスタッフの方々から語られたエウレカセブンのお話を共有したいと思い、このレポートにまとめました。
このレポートは2019年12月7日に開催されたアニメスタイルさんによる「エウレカセブンを語ろう!2」についてまとめたもので、司会の小黒祐一郎さんほか、京田知己監督、特技監督の村木靖さん、原画の橋本敬史さんが登壇されていました。
貴重かつ楽しいお話を聞かせてくださってありがとうございました!

エウレカセブンのモチーフや発端

もともとエウレカセブンの企画はゲームと並行して開始されたものであり、アニメもそれに伴ってBONESさんで企画が始まったようです。
実際アニメの放映時にはPS2から「エウレカセブン TR:1 NEW WAVE」という作品が発売されていましたね。
アニメは当初26話構成を計画していたようですが、毎日放送にかかわってからは急遽50話構成に変更とされたようです。
さて、作品のモチーフは花の子ルンルンやカルピス名作劇場といったものらしく、ロボットものとして考えられていなかったようです。
自分はそれらのうち「愛の若草物語」や「ロミオの青い空」、「ペリーヌ物語」の3作品を見ているのですが、エウレカセブン作中の人間関係で温かみが感じられたのはその影響かもしれませんね。
ロボットものの要素が加わると、そこからボーダーのキャラバン(作中でのゲッコーステイトでしょうか)が旅する発想から始まり、空中サーフィン(作中でいうリフ)に発展、さらに宮武一貴さんのアイデアが加わったそうです。
さらに青い空や白い雲、トラパーによる飛行機雲風のビジュアルといった描写ができるということから「TVでマクロスプラスがやれるじゃん!」といった発想にもなったようです。
ほかにも機動武闘伝Gガンダムやカウボーイビバップ、天空のエスカフローネといった作品のテイストが薄れることなく、形を変えたうえで取り入れようともしたそうです。
お話の中で特に強調されていたのは「エウレカセブンは板野イズム(アニメーターである板野一郎さんの作風や考えでしょうか)の延長線上にある」ということで、先述の「マクロスプラスをTV作品として作る」ということも当時としてはあり得ないものとされていたようで、スタッフの方々の強い野心がうかがえました。
メカと人との関係においては機動戦士Vガンダムの発進シーンを監督が好んでいたとのことで、ロボット、コクピット、ブリッジ、通信での会話といった要素の数々を描きたかったとのことです。
よくモチーフになったのではないかといわれる作品として新世紀エヴァンゲリオン似ついても語られましたが、エヴァについてはさほど意識していたわけでもなく、どちらかといえば同じくガイナックス(当時)さんにおいて庵野秀明監督が制作したトップをねらえ! の方を京田監督は好んでいたそうです。
また、劇場版エヴァに京田さんがコンテに参加したこともあって「エヴァっぽくしないで」という注文を引き受けてコンテを描いたら「エヴァっぽくない!」という突っ込みを受けたと笑いながら話していました(笑)
影響を強く受けたのは映画トレインスポッティングらしく、回想シーンはフリクリっぽいと言われていました。
僕はエウレカセブンの二次創作において今まで見てきた他作品の要素も取り入れたいと考えているのですが、原作のエウレカセブンの時点ですでに様々な作品の要素が集まってダイバーシティが起きているのですね。
そのことを意識して作品を見直すとまた新しい発見に出会えそうです。

エウレカセブンにおいて特に意気込んでいたこと

そもそも京田監督自身がメカが好きと語っており、同じくBONESさんが制作したラーゼフォンにおいても作画等を手伝っていたとのことです。
エウレカセブンはロボットものとして企画を進めていくうちに「いつの間にか戦争ものになっていた」とのことでしたが、戦争そのものを描くのはむしろ良くないと考えていたそうで、その中でドラマを描こうという話になったそうです。
ゲッコーステイトのメンバーたちをはじめとした登場人物たちから前向きさが感じられるのもその発想があったからかもしれませんね。
この話は当時毎日放送で規格をしていた竹田滋さんによるもので、それまで彼が関わっていた機動戦士ガンダムSEEDや鋼の錬金術師(2003年版)において戦争や政治といった要素を強く感じていたので、僕はこれに対してかなり意外だと思いました。
直接的な事実としてではなく、ドラマとして昇華するのはさすがだなと思います。
作画においては、27話(と語られていたが、内容を聞く限り実際は28話?)が転機だったらしく、月光号が白鳥号とぶつかるとか空中戦やコクピットの見え方からアイデアを得ていたようです。

ポケットが虹でいっぱいやAOについて一言

他のシリーズ作品についても少しだけ語られ、映画作品であるポケットが虹でいっぱいは当初の企画に対して監督が違うものにしようと企画を新たに出したらOKが通って作品になったとのことでした。
AOについては「シリーズエディターの會川昇さんが暴れたのでは?」という質問があったらしく、それに対して會川さんは「エウレカファンが怒っているとすれば、それは違うんじゃない?」と語っていたそうです。
確かに一部登場した前作からのキャラクターにとっては辛い結末だったのかもしれませんが、僕もあの結末が彼らにとっても(まったくとは言えなくても)救いがあったのではないかと思っています。
ネタばれはしませんが、確かに辛いところも大きかったけれど……うぅっ……。

ハイエボリューション3作目に向けて

新たに始まった映画作品ハイエボリューションシリーズにおいて、第1作の交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1においては、京田監督は「最初の30分ができたらいいな」ということで参加したらしく、実際に冒頭のサマー・オブ・ラブのシーンが作りたかっただけだそうです(笑)
ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションで主人公をつとめた石井・風花・アネモネのモチーフとなった、TV版交響詩篇エウレカセブンのアネモネは本来戦闘メカ ザブングルに登場するドロミラン(ザブングルは少しだけ見てましたが、キャラは知らないです)というキャラクターのように、2, 3話しか出ないものの1話でシリーズを引けるキャラを出そう! という案のもとで考えられたそうです。
ANEMONEで彼女が主人公になるとはスタッフさんたちも思いもしなかったようです。
登場も当初より前倒しになったそうな。
ハイエボリューション3作目に向けての話も語られ「3作目で完結?」という質問に対し、監督はだんまりでした(笑)
続きの作品も考えられているのかもしれませんね。
最初(ハイエボリューションシリーズの最初かエウレカセブンという作品の最初かはわかりませんでした)に決めたゴールはあって、そこに向かっていると語られました。
どのようなテーマが明かされるのか楽しみです。